海外旅行ランキングで常に上位のタイ。
年間約3,500万人(2017年)もの外国人旅行者が訪れます。
日本からも6時間程度で行けて、航空券も安い。
先進国にはないのんびりとした雰囲気に魅力を感じ、もう何度も行かれている方もいるも多いのではないでしょうか?
ただ、ほとんどの旅行者が行くのが、バンコクやパタヤ、チェンマイなどの有名な観光地。
確かに魅力があるから観光地になるのですが、観光地になるとどうしてもビジネスライクな雰囲気になってしまうのも事実です。
タイの有名どころは全部行かれてしまった方、タイの本当の魅力を体験してみたい方。
そんな方におすすめなのが、タイ北部のメーサロンです。
そんなメーサロンの魅力を、ローカルスポット好きの私がお伝えします。
メーサロンはどこにある?
メーサロンはタイの北部、ミャンマーの国境近くにあります。
メーサロンの南東にあるチェンライが起点の町になり、そこからはバスやレンタルカー、レンタルバイクで行けます。
バンコクから、チェンライは飛行機で約一時間。
チェンライからメーサロンは交通手段によりますが、2~3時間というところです。
メーサロンの歴史
メーサロンの町を歩くと、漢字の看板や中華料理屋が多く見られます。
これは、メーサロンの歴史に関係しています。
1946年から1950年に中国で起こった内戦、第二次国境内戦。
中国国民党が率いる人民解放軍と中国共産党が率いる国民革命軍との争いでした。
内戦の結果は人民解放軍の勝利。戦いに敗れた国民革命軍の多くが台湾に逃れて移り住むことになりました。
ここまでは有名な歴史の話ですが、国民革命軍の中には台湾に逃れることのできない兵士もいました。その兵士たちは、陸路でメーサロンまで移動し反撃のチャンスを伺っていたそうです。後に兵士たちは、タイ政府より正式なタイ国籍を与えられました。現在、メーサロンではその兵士たちの子孫たちが暮らしています。
元々、メーサロンにはアカ族など少数民族が住んでおり、華人と少数民族の共生という、他のタイの地域とは違った独特の文化が形成されるようになりました。
メーサロンはタイ人のリゾート地として有名
タイといえば、1年中暑いイメージがあります。
タイ人が涼しいという12月でも首都バンコクの最高気温は30℃です。
それに比べメーサロンは標高1,000m以上に過ごしやしい気温です。
暑い時期(3月~10月)でも最高気温25℃前後は、寒い時期(11月~2月)は20℃前後にまでなります。
私が行った1月は、夜や早朝はかなり肌寒くなり、ちょっとした防寒着が必要なくらいでした。
そういった理由もあり、タイ人の間では人気の避暑地となっています。
メーサロンにはお茶の産地として有名ですが、特別目を見張るものがあるわけではありません。
ぶらっと街を歩いてみたり、のんびりと美味しいお茶を飲みながらすごしたりとリゾート感覚で過ごしている観光客たちが多いです。
メーサロンの本当の魅力~アカ族の村のおもてなし
私がメーサロンに訪れた理由は、お茶畑でもなく寺院でもなく、アカ族の人々たちの暮らしを見てみたかったからです。
メーサロンがある山にはアカ族や華人の人々の住む村が点々とあり、人々たちは昔とあまり変わらぬ生活をしています。
可能であれば、メーサロンに来たらバイクをレンタルすることをおすすめします。
というのも、アカ族の人達の村は、ひとつひとつが離れており、歩きでは相当時間がかかります。またメーサロンは山の中になる街なので、ほとんどの道が坂道です。よほど体力のある人でないとへとへとになってしまいます。
海外旅行でのレンタルバイクの借り方・注意することは下記の記事をご覧ください。
アカ族や華人の村には、元気な子供たちが外でいっぱい遊んでいて、なんだか昔の日本の懐かしさを感じます。
いくつかの村を周り、バイクを走らせている途中、とんでもない急な坂にぶち当たりました。長さは100mくらいでしたが、角度は明らかに45度以上あるだろう坂道です。
なんとか行けるだろうとたかをくくってバイクを走らせましたが、坂の途中でエンスト。
これだけ坂が急だとエンストだけでは済まず、バイクと私のバランスを失ってそのままずるずると坂道を後退。
これはまずい!と思った瞬間、坂道の上から二人の男の人たちが駆け付け、私とバイクを押して坂の上まで連れて行ってくれました。
その男の人たちもアカ族の人たちでした。
とりあえず簡単な英語と身振り手振りで礼を言うと、男の人たちはちょっとこっちへ来いとジェスチャーをしました。連れて行ってくれた先では、ちょうど夕食の用意をしていたらしく彼らの仲間たちが火を囲んでいました。
「今日はバーベキューなんだ。一緒に食べていけよ。」
彼らは英語を喋れなかったですが、身振り手振りで私を夕食に招待してくれました。
バーベキューといっても何か特別な器具があるわけではなく、焚火をしてその上でフライパンを振ったり、地面に直接串を刺してりして焼くワイルドなスタイル。お酒を入れる盃は、竹をぶった切ったもの。まな板は切り株。焼いた肉を載せる皿はバナナの葉っぱです。
肉を焼いているおばちゃんが汗を拭ぐうためにTシャツをまぐりあげるたびに、おっぱいが見えて目のやり場に困りました。
私は鼻を指で押し上げながら、麦わら帽子のおじさんに尋ねました。
私:「これは豚の肉?」
麦わら帽子のおじさん:「違うよ」
私は両手をバタバタさせながら
私:「チキン?」
麦わら帽子のおじさん:「違うよ」
おじちゃんが、「あれだよ」と指を指した先には、
私:「・・・・。」
私は、コブラでもサソリでも平気で食べますが、身近にいる動物というのはやはり抵抗を覚えます。
私:「あの犬も食べるの?」
麦わら帽子のおじさん:「ノー!ノー!あの犬は僕のペットで家族だから食べないよ!」
どこからがペットになって、どこからが食用になるのか彼らなりに何かあるのでしょう。
かなり抵抗はありましたけど、せっかく招待してくれているので私もいただこうと思ったとき、
おばちゃん:「もうすぐで出来上がるよ!」
そのとき、麦わら帽子のおっちゃんが取り出したのは、
犬の血・・・。
仕上げの味付けに使うようです。
更に食べる抵抗感が増してしまいました・・・。
バーベキューが出来上がると、どっからともなく子供たちが集まり、犬も集まり夕食が始まりました。
彼らにとってご馳走であり、そのご馳走をわざわざ私に振る舞ってくれる。
抵抗はありましたが、ありがたくいただきました。味は想像にお任せします。
私が食べると、本当に彼らは嬉しそうに、「うまいだろー?NO1!NO1!」。
旅をしていていつも感じるのは、多くの国の人々は自分の文化や料理や地域に誇りを持っている人が多いということです。自信過剰じゃないかと思うくらい自慢してくるときもよくあります。
ネパールでは俺の牛すごいだろと、延々と話を聞かされることもあります。
日本では自信過剰は美徳とはされませんが、自信や誇りを持つことの大切さは忘れてはいけないなと感じます。その自信が正しいかどうかは別として、自信や誇りがなければ幸せというのも感じられないのではないでしょうか。
英語は全く通じなかったですが、こういった田舎の人たちとは言葉が通じなくてもお互い楽しくコミュニケーションができるのが不思議なんですよね。言葉が通じるもの同士でもうまくコミュニケーションがとれなかったりするときもあるのに。私たちは言葉に頼りすぎているのかもしれません。言葉のニュアンスを必要以上に捉えて勘違いしたり変に気を使ったり、言葉を過信して相手を理解しようという気持ちが足りなかったり。
楽しかったバーベキューも終わり、ホテルに帰る時間になりました。
こういう時、私は日本人なので、何かしてもらったならば必ずお返しをしなければいけないという感覚になります。何かしなければ失礼になると。
ただ、私が何かあげようとしてもアカ族の人たちは頑なに拒みました。
何もお礼を求めない、期待せずに相手におもてなしをする。これはアカ族に限らず、海外ではよくある話です。外国でそういった体験をしたことがあるかもいるのではないでしょうか?
びっくりするような親切をしてくれたのにお礼はいらないの?と理解に苦しむときもあります。
私もこれまでに、こういった経験をしてきたので分かっていたはずですが思わず何かお礼を上げようとしてしまいました。
もちろん、お礼に何かを上げるということ自体は悪くないことですが、たくさんある価値観のうちのたった一つでです。
私は過去に、海外でお世話になった人にお金や物をあげようとしたことが何度かあります。
もちろん、喜ぶ人もいましたが、なかには怒ったり悲しんだり。
以前、お世話になった人にお礼に物かお金をあげようとして言われたことがあります。
「お前は俺のことをそんな風に思っていたのか。俺の心からの気持ちがお金で買えるのか?」
もちろん、私はそんなつもりはありませんでした。
彼は続けました。
「俺はお前に楽しんでもらおうと思ってやっただけだし、お前が楽しんでくれたら成功なんだ。」と。
私が楽しむ=相手にとって最高のお礼
これ以外は何もいらない。
私は知らず知らずのうちに、相手にとっての最高のお礼は何かを考えずに、
お礼に物やお金を上げること=自己満足
になっていたのかもしれません。
帰りは、お酒を飲んでいたこともあり、アカ族の若者が私のバイクを運転してホテルまで送ってくれました。
短い時間でしたが、アカ族のおもてなしは私に色々なことを気づかせてくた最高の思い出になりました。
まとめ
今回は、私の体験談を交えながらメーサロンの紹介いたしました。
余談ですが、皆さんもご存じの通り、タイのキャッチコピーは「微笑みの国、タイ」です。
「でも、タイって全然微笑んでくれる人少ないやん!」
って感じた人はいませんか?
私は結構そう感じることがあるんですけどね。
ミャンマーやラオスは本当に微笑んでくれる人が多いのですが。
ただ、メーサロンをはじめ田舎に行くと人々の微笑みによく出会います。
アカ族の人たちも笑っている人が本当に多いです。
何故かはわかりませんが、バンコクのようにどんどんと都会になって近代化していくと笑う余裕もなくなってくるのかもしれませんね。
今回ご紹介したレンタルバイクでの散策は、急な坂道の場所などは危ないので運転をおすすめしませんが、のんびりと走って村を訪ねるだけでも楽しめると思います。
素敵な人たちとのコミュニケーションは、旅に行く人それぞれにとって違った思い出になります。
そういった素敵な人々が住むのがメーサロンの最大の魅力だと思います。
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